血みどろモーターバイク

 

 車種:YAMAHA XV250 VIRAGO

 購入年月日:1992年9月

 走行距離:62600km(2003年9月時点)

 改造箇所:スプリンガーフォーク/アップスウィープフィッシュテイルマフラー/リアリジッドサス/ロングシーシーバー/ファットボブリアフェンダー/段付きシート/エアクリーナー/ワイドハンドル/1インチハンドルポスト/チェーンガード/ステップ&ステー/スモールヘッドライト&ステー/ブレットウインカー

 ← リロードでランダムにイメージが変わるはずだが。

 本来なら、このページ《血みどろCHOPPER》というタイトルにしたかったのだが“チョッパー”とは厳密にはフレームなどをチョップ=ぶった切ったものを指す。

 こいつの車体はノーマルフレームにボルトオンパーツのみで構成されているので厳密な意味でのチョッパーではないなと判じた。

 だからといって《血みどろアメリカン》もどうかと思って畢竟《血みどろモーターバイク》に落着した訳である。

 まあ“血みどろ”と謳う割りにはスリップ転倒で自損したという以外の派手な事故もなく無事に乗り続けていられるのは御愛嬌というか僥倖ではある。

 リジッド仕様により極限まで低くされた後部車高。右折時にマフラー底部を路面で擦るのは茶飯事。

 なおフロントフェンダーを装着していないので雨天時はタイアが拾って撥ね上げた水飛沫をすべて真正面から受けることになってしまい殆ど地獄の試練なのだ。

 単純な「利便性」だけで暮逆がバイクに乗っているのではないと御理解頂ければ幸いだということを象徴するエピソードである。

 リアシート搭乗者のための背凭れをシーシーバーと呼称する。「C.C.バー」とも「sissy bar」とも表記されているようだが。

 思えば様々な人達をこのリアシートに乗せてきたものだ。まあ大抵は夜になれば今度は暮逆が乗せて貰った訳だが。

 ともあれ、このシーシーバーは会社帰りにスーパーやコンビニに寄った際に買い物を詰めたヴィニール袋を下げたりするのを始め、ちょっとした買い物に非常に重宝している次第なのである。

 

架空インタヴュー企画

 

硬派なバイカーを自認される暮逆さんに、そのルーツを訊いてみました。

 

 Q.最初にバイクに乗ろうと思った切っ掛けは?

「元々は全然バイクとかに興味なかったんだよな。今でも、ただ単に『バイク』っていうだけじゃ関心がないぜ。格好いいと思えるのは、かなり弄ってるアメリカン系Vツインか単気筒ロッカーズ系のやつだけだなあ」

 

 Q.それでバイクに乗ろうと思った切っ掛けは?

「ああ切っ掛けな(笑) ロック雑誌でレニー・クラヴィッツがハーレーのチョッパーに乗ってる写真を見たんだわ。メタリックぽいブルーのやつで今までバイクに対して抱いていたイメージとまったく違う格好良さがあったよなあ。

 それから、しばらくしてブランキーの『Baby,Baby』って曲を聴いてな。そうそう『TEXAS』のc/wのライヴ音源のやつ。スクラップみたいなハーレーに乗って夜通し突っ走るっていう内容の唄。これが契機になって、なんだか居ても立ってもいられない気分になって色々と調べ始めたんだよなバイクのことを」

 

 Q.それだったら選択肢はまずハーレーじゃないの?

「いや、いきなり無理だろ。それまで原チャリも乗ったことなかったのによ(笑) で、調べているうちに暮逆が乗りたいような外観のバイクは普通には売っていないと。色々とパーツ取り換えて改造してやんなくちゃいけないことが解ったんで、じゃあ車検のない250ccクラスにしようと。

 当時、一番人気は400ccのSTEEDだったんだけど250ccクラスはVIRAGOとREBELしかなくて、やっぱエンジンの形状はVツインがいいなと思って必然的にVIRAGOになった訳よ」

 

 Q.最初にバイクを買ったときは?

「中古で¥35万ぐらいだったかな。走行距離がまだ300kmぐらいの状態のいいやつだった。当時、社会人になったばかりで全然、金なくてな。まあ、それを云うなら、むしろ今の方が金はねえんだけどよ(笑) ともかく¥5万ぐらいの頭金を入れて後は月々¥3万ずつ一年ぐらい払ってたなあ。その頃、通常の仕事以外に週イチでファーストフード店舗の深夜清掃のバイトもやってたぜ。ひと月分が丁度ローン支払分に相当するという訳でな。あの頃はまだまだ元気だったなあ(笑」

 

 Q.それから改造を?

「最初に買ったのはマフラーだったな。ロングのドラッグパイプ。それとシーシーバー。今と違ってリジットにしてなくてショートサス付けてたっけ。シートも今とは違うコブラシートにしてたっけな。それからフロントフォークをジョイントで15cm伸ばしたんだよ。ハンドルはロングポストで高くして真一文字フラットとかドラッグバー気味にしてたな。『イージーライダー』でデニス・ホッパーがやってたような感じに。そして元々は濃いグリーンだったんだけどタンクとかを艶消しブラックのスプレーで塗ったりして。

 で今度は元のフォークを10cmロングのやつにしてワイドトリプルツリーも付けたんだよな。それでフロントフォークは都合25cm延長してた訳だ。かなり莫迦だったな(笑) リアフェンダーもファットボブスタイルのやつにしたっけ。マフラーをフィッシュテールに換えて、終いにゃ耐熱塗料でブラックに塗装して」

 

 これはロングドラッグパイプにワイドトリプルツリー装着&25センチ延長フォーク時の初期スタイルを収めた貴重なショット。

 上記文中のロングポスト/ドラッグバーによる『イージー・ライダー』劇中のデニス・ホッパー風とはこのスタイルのハンドル形態を示している。

 リヤサスもショートのものが健在でリジッド化されていない。

「この後フロントフォークをスプリンガーにしてリアをリジッド化してロングシーシーバー付けてシートも換えたっけ。この辺りの無茶なパーツ類は全部Made in bee製だな。ここは本当にいいメーカーだと思うね。何っつうか反骨精神にあふれてるよ。すげえロングのガータァフォークとか出してるし。暮逆は怖くて付けなかったけど(笑」

 

 後期型だが、まだハンドルがワイドではないという時期の貴重なショット。

 スイサイダル・テンデンシーズ風バンダナスタイルの暮逆が我ながら懐かしい。

 多分1997年夏頃かな。

「それからハンドルをワイドで低くしたからフロントはクラシカルなテイストでリアはチョッパー風という変なスタイルになって今に至ると」

 

 Q.何故こんな無茶な改造を?

「特に『改造するぜ!』っつう前提があった訳じゃなくて自分の気に入る見映えにしようと思ってパーツ取っ換えてたら結果として、こんなになっちゃったってだけのことで。デフォルトでこんなのがあれば別にノーマルでもいいんだけどな(笑)

 だいたい本当に格好いいものってのは通常の規定にゃ到底収まらねえもんなんだわ。格好いいってことは凡庸な連中に違和感と不安を与えるし、それなりにリスクを伴うことだからな。まあ人生全般において云えることだけど(笑) 本当に格好いいことや生き様を求めるのならば突出し、逸脱していかにゃあ、それは体現できんのよ。っつうか、せざるを得ない。結果として、つまりそれがアウトローってことだろ。まあ幾ら法規制を逸脱するからって犯罪者になっちまったら駄目だけどよ(笑 」

 

 Q.では暮逆さんにとってバイクとは?

「おいおい、いきなりだなあ(笑

 こういう設問は難しいよな。「女とは?」「ロックンロールとは?」「ホラーとは?」「人生とは?」ってのと同じでよ。

 根源的すぎて短い言葉で応えると陳腐になっちまう。だけどよ実際、言葉を尽くしてもいいんだぜ? 諄い語りは得意中の得意だからな。

 ただなあ、ここは「バイク」に関してだけは簡潔に応えてやろうじゃねえか。

 ただし俺の「このバイク」に関してだけだ。他の「バイク」っつー概念は知らねえぜ。

 いいか。

 こいつは“俺の自由な魂を象徴する”もんなんだよ」

 

 Q.それって、もしや――『ワイルド・アット・ハート』?

「そうだあ! あのセイラーことハゲのニコラス・ケイジが熱く語ってた原作にゃないスネークスキンジャケットのことだぜ! それをなあ、ただの“ファッション”と切り捨てちまう奴もいるだろうよ。だがな俺にとっちゃ革ジャンもバイクもタトゥーも“俺の自由な魂を象徴する”もんなんだよ! 解るか? ええ、おい? ワイルドなのは――ハートよ! ただワイルドなだけじゃ原始人だろが? あ? ワイルド! アット! ハート! ハートっつーのよ! はっ! あっ! とぉっ!」

 

 Q.でも、それじゃパクリなんじゃ…

「うるっせえええええ! こりゃ真理なんだよ俺にとって! 到達する場所は一緒だっつーことよ! この感覚を規範にして生きてんだよ! 己の信ずる道! それこそが人生だろが! それすらも解んねえんなら消えちまえ! 今すぐ消えろや! この糞ったれのクズ野郎があっ!」

 

 Q.いや消えますよ今すぐ普通に。そんなクズ呼ばわりまでされて頭ごなしに怒鳴りつけられても堪忍して続けなきゃいけない筋合いも更々ない架空インタヴューですから。

「え? マジ? マジ帰っちゃうの? 待ってくれよ俺の魂のトークをもっと訊いてってくれよーハートのトークをよー」

戻り道。